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11月の事を霜月と呼ぶ
霜月は霜降り月・霜降月(しもふりつき)の略だそう
霜と聞くだけでとひんやりとした印象
朝晩はすっかり晩秋と言った感じで布団も冬布団に変わった
今年も今月を合わせて霜月と師走のふた月のみ
カレンダーもひらひらと寂しい感じ
今回はうつわのいろはを少し書いてみようと思う
色々と調べてみるとなるほど!と勉強にもなったり。
私の住む愛媛県には砥部町を中心に作られる砥部焼という焼き物があり、
私も砥部焼作家として活動している
砥部焼は愛媛県指定無形文化財
砥部町の後背の山地から産出される陶石が主な原料
刃物を研ぐ砥石と言ったらわかりやすいだろうか
ややぽってりとして重量があり、しっかりとした作りで比較的頑丈で
ヒビやカケが入りにくいと言われている
白磁に呉須(ごす)という藍色で手書きされた図案が特徴
※呉須(ごす)・・・染付け磁器の模様を描く青藍(せいらん)色の顔料。
最近ではカラフルな絵付けのものや、薄くて軽いものもつくられている
砥部焼(江戸時代後期)
うつわは原料によって種類分けされていて適切な使い方も変わってくる
◯陶器
吸水性のある土で指ではじくと鈍い音がする
焼成温度1200度前後
土は採取する土地により色が異なる
◯炻器(せっき)
釉薬(ゆうやく)なしで焼き固まり吸水性はない
焼成温度1100〜1300程度
一般に焼き締めと呼ばれる
※釉薬(ゆうやく)・・・陶磁器や琺瑯の表面をおおっているガラス質の部分。
陶磁器などを製作する際、粘土等を成形した器の表面にかける薬品のこと。
◯磁器
吸水性がなく指ではじくと金属音がする素地は白く石を砕いたもの
焼成温度1250〜1450と最も高い
砥部焼はこれに属する
◯半磁器
陶器に分類されるので吸水性はあるが磁器のようにみえる
焼成温度1200前後
うつわを作る方法は人の手だけで作るもの、道具や機械を使って作るもの、それぞれに特徴や魅力がある
(電動ろくろ)
●手びねり
土をのばし成形する
量産には不向きだが個々に個性があり絶妙な揺らぎなどが魅力
●ろくろ
ろくろ台に土をのせコテなどの道具で土を締めながらのばし成形する
同じものを作るのに適している
●鋳込
泥漿(でいしょう)と呼ばれる土を石膏型に流し込むため不定形も作れる
●タタラ
土を板状にしたものをタタラといい、石膏型に圧着して成形する
タタラを組み合わせ箱状のものを作ることもある
(タタラで作った陶箱)
うつわを手に入れたら、まず割れやカケ、ヒビが入っていないかをチェックして。
指ではじいて鈍い音がしたら割れている可能性がある
☆シールはすぐはがすこと
陶器などはあとがつく可能性も
☆底のチェック
とくに陶器はザラついていたらヤスリをかけるのをおすすめする
テーブルなど傷つけてしまうことも
☆吸水性のある陶器は使い初めの時、毎回水に浸してから使うこと
とくにしみ込みやすいものは米のとぎ汁などで煮たり、浸したりすることをおすすめする
せっかく手に入れたお気に入りのうつわ
ひと手間を惜しまずに
汚れや劣化からうつわを守り長く使いたいもの
濃紺ジーンズをはき込んでいい色落ちまで育てるとか、
一点ものの家具を毎日使い磨いてアンティークに育てるように
うつわも同じように使い込み、その味わいもうつわの魅力的のひとつなので、
たいせつに味わって欲しいと思う
【RNBコラムニスト】
Atelier chie
岡田智恵さん(砥部焼作家)
instagram
https://www.instagram.com/atelier__chie/